院長コラム
講演報告:「JCS/JSH 2025で読み解く 心不全ステージと高血圧管理について」

先日、「JCS/JSH 2025で読み解く 心不全ステージと高血圧管理について」というテーマで講演を行いました。
(JCS: 日本循環器学会、JSH: 日本高血圧学会)
心不全は一度発症すると生活の質や予後に大きく影響する疾患ですが、近年は「発症前からの予防」という考え方がより重視されるようになっています。今回の講演では、日本循環器学会(JCS)および日本高血圧学会(JSH)の最新のガイドライン・知見をもとに、心不全のステージ分類と高血圧管理の関係について整理しました。
心不全はステージA(リスク保有段階)→ステージB(前心不全:心臓に何らかの異常があるものの、症状がまだ出ていない状態)→ステージC(心不全による症状が出現した状態)からステージD(難治性心不全)まで連続的に進行します。
特に重要なのは、症状が出現する前のステージA・Bの段階でいかに介入できるかです。この早期段階における最大の修正可能なリスク因子が「高血圧」です。
講演では、以下の点を中心に解説しました。
・心不全ステージ分類の実臨床での捉え方
・高血圧が心不全進展に与える影響
・JCS/JSH 2025における血圧管理目標の考え方
・薬物療法の選択と個別化医療の重要性
・生活習慣介入(減塩・体重管理・運動)の実践
特に印象的なのは、「心不全治療=心不全になってから行うものではない」という点です。高血圧の段階から適切に介入することで、心不全の発症そのものを防ぐ、いわば“予防的循環器医療”の重要性が強調されています。
また、ガイドラインのアップデートにより、より厳格な血圧管理や患者背景に応じた治療戦略が求められるようになってきています。これにより、外来診療の質がこれまで以上に問われる時代になっていると感じます。
当院でも、高血圧診療を単なる数値管理にとどめず、「将来の心不全を防ぐ」という視点で診療を行っています。患者さん一人ひとりのリスクに応じたきめ細やかな対応を心がけ、長期的な健康維持につなげていきたいと考えています。
今回の講演を通じて、日常診療の中での高血圧管理の重要性を改めて実感するとともに、最新知見を現場にどう落とし込むかという課題にも向き合う機会となりました。今後も引き続き、エビデンスに基づいた医療の提供に努めてまいります。