院長コラム
講演報告:「循環器疾患を考慮したCOPD治療戦略」

― 心臓と肺の関係が、いま改めて注目されています ―
先日、「循環器医が知るべき心肺連関の新常識」という講演会にて、
「循環器疾患を考慮したCOPD治療戦略」をテーマにお話しする機会をいただきました。
近年、喫煙に起因する肺疾患であるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と心臓の病気の関係が、医療の世界で大きく注目されています。
心不全診療ガイドラインには、初めてCOPDを併存することのリスクが明記され、
循環器学会や心不全学会でも、COPDをテーマとしたセミナーが企画されるようになってきました。
これは、
「COPDは肺だけの病気ではなく、心臓の病気とも深く関係している」
という認識が、循環器専門医の間でも広がってきていることを意味します。
一方で、現実の診療現場では、
- COPDが十分に診断されていない
- 心臓の治療が優先され、呼吸器の治療介入が遅れてしまう
といったケースも、まだ少なくありません。
今回の講演では、
COPDを早期に見つけ、適切に治療介入することが、心臓の病気の安定にもつながる
という点を、循環器の先生方と共有しました。
また、COPD治療薬の一つであるビレーズトリ®についてもお話ししました。
ビレーズトリ®は発売から7年目を迎える薬剤ですが、
循環器内科の先生方の中には、その製品特性や治療によるメリットが十分に知られていない状況もあります。
COPDの治療を適切に行うことで、
- 息切れの改善
- 日常生活の活動量の向上
- 心臓への負担軽減
といった効果が期待できる場合があります。
これは、肺の治療が、結果として心臓を守ることにつながる可能性があるということです。
今回の講演会では、
福岡大学 呼吸器内科学教授の藤田 昌樹先生に座長を務めていただきました。
藤田先生とは、私が医師になって間もない頃から20年以上のお付き合いになります。
呼吸器診療の第一人者である藤田先生とともに、心臓と肺をつなぐ視点で議論できたことは、非常に意義深い時間でした。
当院では、COPDの診療においても、
- 心不全や不整脈などの循環器疾患の有無
- 息切れの原因が「肺」か「心臓」か、あるいは両方か
- 現在の生活にどのような支障が出ているか
を総合的に考えながら治療を行っています。
「年齢のせい」「体力が落ちたから」と思われがちな息切れの裏に、
治療可能なCOPDや心臓の病気が隠れていることもあります。
呼吸がつらい、動くと息切れが強いなど、気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
心臓と肺、両方の視点から、患者さん一人ひとりに合った治療を一緒に考えていきたいと思います。